マンガアシスタントについてのブログ

カクイシシュンスケのブログ。マンガ家のアシスタントという仕事について主に書いていきます。

結果

残業代を請求した件ですが、支払っていただけました。

 

労基署では、一日9時間×4日=週36時間労働ということであれば変形労働時間制をとっているということだろうけれども、たとえその形でも一日9時間を超えた場合と週4日を超えて働いた分は残業代が発生すると、説明を受けました。

しかし残業代請求をしても満額で支払いがあることはなかなかないので、まずは多めに請求しておいた方がいいと言われ、とりあえず変形労働時間制はないものと考え(正式な契約があったわけではありません)8時間を超えている分の労働時間を2年4か月分請求しました。

そして、こちらの指定した期日に満額で入金がありました。

他のスタッフにも同じように支払ったそうです。

支払いのあった翌日に先生から手紙もいただきました。私を責めるようなことは一言も書かれておらず、今回のことを感謝するとまで書かれていました。

 

残業代請求は三田先生の職場がタイムカードを導入していたからこそできたことです。

他のマンガ家の方々の職場でタイムカードを使っているところはあまりないだろうと推測しますが、もし今後、私のように空気を読まない元スタッフが出勤・退勤時刻と休憩時間をなにがしかの方法できちんと記録した上で労基署に相談に行ったらどうするのでしょうか。アシスタント側は労働時間の記録を持っているがマンガ家側が持っていないとなれば万が一残業代請求された時、非常に困るのではないでしょうか。先回りしてタイムカードを使い始めた方がいいのではないでしょうか。

 

マンガ家もスタッフの労働時間をもっときちんと管理をしていくべきだと私は思います。そして法定労働時間を超えた場合は残業代を支払うべきだと思います。残業代が支払えないなら、スタッフには残業させずにどうにか作品を仕上げる手立てを考えるべきだと思います。それではとても期日までにマンガが完成しないというなら出版社はアシスタント複数人の人件費もきちんと含んだ原稿料(制作予算)をマンガ家に支払うべきだと思います。

 

今回反応をいただいた中に残業代を支払ってる職場もあるという声もあったのですが、それは本当に法律で定められた計算方法で出した残業代なのか…?と少し気になります。アシスタント募集掲示板で時折見かけるような、時給1000円で働いてもらって8時間超えた分からは時給1500円、などといった形では残業代とは呼べないはずですから。

 

マンガ業界の中でアシスタントの立場は非常に低いです。私はそれにまったく納得できていません。マンガ制作の土台を支えているアシスタントの待遇が少しでも変わってほしいと思ってやりました。うちももう少し考えないといけない、とスタッフの労働環境の改善に着手するマンガ家が一人でも二人でもいたらと思ってやりました。そしてマンガ家だけでなく出版社にもそのことを真剣に考えていただきたいです。

私もできる限りのことをやっていこうと思います。

以上です。

三田紀房先生に残業代を請求したことについて

私は大学卒業後、マンガ家の三田紀房先生のもとでアシスタントをしていました。

記録によると平成17年9月5日から平成29年4月27日まで、11年と7カ月です。

かなり長いこと働いていました。

その間、楽しいこともあったし、いやなことも少しはあったような気がしますが、だいたい平和な11年7カ月であったと思います。

それは職場の人間関係が落ち着いていたことに加えて、業界の水準に比べても三田先生の職場が時間にきっちりしていたことが大きいと思います。

完成するまでとにかく徹夜と残業で乗り切るといったようなマンガ家の職場としてよくあるようなルーズさはありませんでした。だからこそ11年7カ月の間、落ち着いて仕事を続けられたのだと思いますし、業界の良くない慣習に流されずそうした職場をつくったことは三田先生の手腕だと思います。

しかし、です。

業界の水準よりはずっとましではあるものの、完全にホワイトかと言われるとそうではありませんでした。労働基準法にきちんと則った職場であったかというと、そうは言えないでしょう。

news.yahoo.co.jp

上の記事に、「現在、三田のアシスタントが働くのは9時30分から18時30分まで。休憩は自由にとることができるが、残業は禁止されている。」とありますが、これはちょっと嘘じゃないですか?

残業は今までさんざんしましたよね?

徹夜は11年7カ月の間、1日たりともなかったです。でも、業界の水準に比べたらずっとましとはいえ、残業は毎週していたじゃないですか。私が退職した後、さらに業務改善されて残業ゼロになったのでしょうか?だったら、そのように書いてほしいものです。まるで昔からなかったかのように読めてしまいます。

あと、自由に休みをとって良いというのも、言葉からイメージされることと実際はずいぶん違いますけど。休憩はあったじゃないですか。15時00分から15時15分くらいまでの10~15分間だけ。そこで簡単な昼食を各自とって、また描き始めるわけです。休憩を自由にとることができるというのは、トイレに行ったりコーヒーをいれに行ったりすることのことですか?それも休憩と言えば休憩かもしれませんが、ものの数分ですよね。喫煙者の先輩は15時からの15分休憩以外にも日に1回、タバコを10分ほど吸いにいっていましたが、せいぜいそのくらいであって。基本的にずっと描いてましたよ、我々は。労働基準法から言えばこの休憩時間の設定は違法ですが、別にそれがきつかったわけではなく、慣れればどうってことなかったとはいえ(さすがに週の4日目、木曜にもなると疲れがたまっては来ます)、なぜ実際と違うことを書くんでしょうか。

 

で、週4日勤務のうち、月曜から水曜は記事のとおり9時30分から18時30分できっちりしていましたが、木曜はほぼ毎週残業していましたよね。木曜は18時で一度20~30分ほどの夕食休憩をとり、その後22時、23時まで我々アシスタントは残業するのが常だったじゃないですか。24時過ぎたことだってありましたよ。25時までやったことだってありました。

 

そしてその残業代は全く支払われていませんよね。11年7カ月の間、一度たりとも。

 

私はそのことに納得はしていません。なので、思い切って残業代を請求することにしました。残業代の請求に関しては、この記事を読む前からずっと考えていたことです。

どうすればマンガ家のアシスタントがもっと働きやすくなるのか?

長時間労働を是正することができるのか?

そういうことを考えた時に思いついたことの一つが、マンガ家に対して残業代を請求してそれをネットに書くということです。幸い、三田先生の職場はタイムカードを導入していたので、出勤・退勤時刻は正確に記録が残っています。改ざん一切なしの記録があるのだから使わない手はありません。このことがどの程度、今後の業界に影響するかはわかりませんが、やらないよりはましです。

それと、残業代とは別のことで納得いってないことがあります。

それは記事の中にも出てくる作画を外注するデザイン会社とも関係することです。その会社を仮にA社とすれば、A社とは『インベスターZ』での作画をお願いしていた会社ですよね。

私はA社に対して悪い印象はありません。マンガ家から作画を請け負って描くということをやっている会社はそうないでしょうから、頑張ってもっと業界内で有名な存在になってほしいと思っています。マンガ家とアシスタント(的な存在)の関係性において選択肢が増えるのは良いことだと思いますので。

でも正直言ってA社の技術だと描けない部分もそれなりにあり、『インベスターZ』の作画でポイントとなる大きなコマは我々アシスタントが描いたりすることが多かったですよね。

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〈Ⓒ三田紀房『インベスターZ』13巻/講談社(モーニング)〉

上の絵などは私が資料画像を検索して集めて、下描きをし、ペン入れしたものをA社がトーン処理したわけです。

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〈Ⓒ三田紀房『インベスターZ』16巻/講談社(モーニング)〉

この絵も真ん中のチャンピオンベルトの男の顔は先生がペンを入れてますが、首から下は私が下描きしてペン入れしたものです。後ろの人物も私が顔も含め皆描きました。A社はトロフィーとチャンピオンベルト、Kenのロゴ、日の丸、足下の影の線、背後に少し見えるリングのロープ、あとはトーン処理です。靴のデザインもA社かもしれません。

我々アシスタントはヤングマガジンで連載していた『砂の栄冠』を描く仕事がありますから、それをいったん止めて、『インベスターZ』の絵を描くわけです。大抵は私、O先輩、H先輩で描いていました。それなりの時間をとられます。遅れた分は前述のとおり木曜に残業です。でも残業代は出ません。

で、三田先生は言っていましたよね。A社には作品がヒットした時はそれに応じてインセンティブを渡す契約をしている、だから作品がヒットするとA社にとっても大きいんだと。それに、今のところアシスタントを雇うより外注先に支払う額の方が高い、とも。

我々は一度もヒットに応じたインセンティブなどもらったことはありません。

ドラゴン桜』の頃も年二回の賞与が特別多かったという記憶はありません。

なぜA社にはそうした報酬を渡せて、我々アシスタントにはなかったのですか?A社と我々アシスタントでは技術的には我々が上でした。だからこそ上の絵のように全てA社に任せるのではなく我々が受け持つ部分もあったのでしょう。なぜ技術的に上である我々アシスタントの報酬がA社より下なのですか?

結局のところ、立場が強いのはマンガ家の方なんだからアシスタントがインセンティブをよこせと言ってくるはずがない、言ってきたとしてもどうとでも言いくるめられる、というのが理由ではないでしょうか。それ以外に正当な理由があるのならぜひとも教えていただきたいものです。払いたくないから払わなかった以外の理由があるのなら。ないでしょうけど。

そういう意味でも私は残業禁止だとかメディア上で発言することはいかがなものかと思います。

私たちはあなたのマンガのために働いてきました。残業もさんざんしました。その働きを最初からなかったかのように吹聴するのは一体どういうことなのでしょうか。

mitanorifusa.com
こちらの記事ではマンガ家の公務員化などと言っていますが、公務員と言っても業界の水準よりは時間に正確というだけですよね。

平成17年に三田先生のもとで働き始めた時は、私の記憶が確かなら月給13万円からのスタートだったはずです。11年7カ月で10万円ほどアップし、最終的な私の月収は23万円でした。賞与も含めたらどうにか300万円超えるといったところでしょうか。公務員とは程遠い収入です。売れてるマンガ家のもとで働いてもこのくらいの給与ではアシスタントは希望や自信が持ちにくい職業だと思います。マンガ家として独り立ちするというだけでなくアシスタントの技術をきちんとプロの技術と認めて、アシスタントとして稼ぐという道をもっとつくらないことにはマンガ業界の長時間労働は是正されて行かないと私は思っています。

そのために私が今できることの一つがマンガ家に残業代を請求し、それをこうしてネットに書くことです。

昨今、SNS上で出版社のやり方を批判するマンガ家は多いですし、その批判には納得できるものも多いです。しかしマンガ家もアシスタントに対して改めなければいけない部分が山のようにあるのではないですか?なぜマンガ家はアシスタントにさんざん徹夜や残業をさせても手当を支払わなくていいような慣習が未だにあるのですか?おかしいでしょう。そういうおかしなことは徹底的に批判して改善していくべきだと思います。残業代もその一つです。

業界でもマシな方の三田先生のところで残業代を請求するなら、もっとひどいウチで請求してみたってバチは当たらないよなと行動に出るアシスタントが少しでもいたらいいなと思っています。ただ、他の職場でタイムカードを導入してることは少ないでしょうし、そもそもマンガ家とアシスタントの間には圧倒的な立場の差があります。実際に残業代を請求しようとする人はまれでしょう。ただ、出勤・退勤時刻と休憩時間をメモして証拠を一応残しておいてもいいと思いますし、試しに先月の残業代をざっくりと計算してみるのもいいと思います。そうやって自分は本来これくらいもらってもいいはずなのかとか、残業代って請求してもいいんだとか、少しでもマンガ制作に携わる人の意識が変わっていってくれたらなと思ってこういうことをしています。マンガ家の先輩方からしたら余計なこと言ってんじゃねえって感じでしょうけど知りません。それと、私は立場の弱いアシスタントではなく使用者として強い立場にいるマンガ家の方が本来は積極的に意識を変えていくべきだと思います。

三田先生、残業代を支払っていただけませんか?

記事の中でご自分のされていることを「一種の社会貢献」とおっしゃっていますよね。アシスタントの労働力をさんざん搾取してきたマンガ家が、アシスタントに残業代を請求されてきちんと支払うというのも一種の社会貢献ではないですか?「若い人たちに見せて」いくべきことではありませんか?

ぜひとも支払っていただきたいです。よろしくお願いいたします。

そもそもなぜアシスタントは低賃金・長時間労働なのか

マンガ家のアシスタントは大抵の場合、低賃金で長時間労働です。

マンガ業界に身を置いてない人でもネット上のマンガ家アシスタント募集掲示板を見れば、その一端が垣間見えるかと思います。誰でも見られます。

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だいたい一日10~12時間労働で時給1000円というのが募集掲示板から見てとれるおおまかな相場と言って良いのではないでしょうか。残業代・深夜手当について明記されてる求人はほとんどありません。また、「経験者優遇」と書かれてることも多いですが、何をどう優遇するか明記されてる求人は見たことがありません。

マンガの絵を描くというのは何の技術も持たない人がすぐに描けるようになるようなものではありません。絵の素養がある人がそもそも少ない上に、実際にモノになる人はもっと少ないでしょう。貴重な技術を持ったアシスタントの給与相場が時給1000円というのはあまりにも安すぎます。東京都の最低賃金は2018年1月現在、時間額958円です。

ではなぜ低賃金なのかと言えば、それは使用者(雇用主)であるマンガ家の収入が少ないことに一つの原因があるでしょう。

マンガ家の収入は原稿料と単行本の印税が主で、原稿料はアシスタントの人件費に消えて印税でカバーするなどとよく言われます。

この原稿料がとにかく安いのです。

私は2004年、2007年に週刊少年ジャンプの増刊号にあたるマンガ誌に読み切りが掲載されたことがありました。その時の原稿料は1ページ1万円に満たない額でした。現在、ヤングアニマル嵐という青年マンガ誌で連載をしていますが、その原稿料もジャンプ増刊と同じ額です。おそらく少年誌・青年誌の原稿料の最低ランクはその額に設定されているのだろうと思っています(もっと安い少年誌・青年誌がないとは言い切れませんが…)。

1ページ1万円に満たないということは月に20数ページ~30ページ描く連載でも源泉徴収を差し引けば月収30万どころか25万円ちょいといったところです。その月のページ数によってばらつきはありますが、印税を除いた原稿料だけなら月収20万円台ということになります。

一方でマンガを描くというのは非常に手間がかかるものです。少しこだわりを強くしようと思えばどんどん作画時間は増えていきます。しかしその作画を部分的にアシスタントにお願いする場合、この少ない月収の中から支払わねばならないわけです。

隔週ペース、週刊ペースとなればページ数は月刊よりも増えるわけですが、収入が増えるかわりに、制作ペースが早まる分、自ずとアシスタントを雇う人数、日数は増やさなくてはいけなくなります。

マンガ家の原稿料はマンガの絵に対する対価と物語(脚本)に対する対価という「報酬」という側面だけでなくアシスタントの人件費を含めた「制作予算」でもあるはずです。にもかかわらず報酬+制作予算としてあまりにも低すぎる金額と言わざるを得ません。月刊、隔週、週刊、いずれも何の実績もない新人の原稿料は一万円に満たない額だとすれば(少女誌やネット媒体はもっと少ないと聞きますが実際の額は私は知りません)、その額はアシスタントの人件費も含めた金額としては設定されていないわけです。

その少ない原稿料からアシスタントの労働条件を無理やり導き出したのが一日10~12時間労働、時給1000円という相場なのだろうと思っています。

しかし収入が少ないからと言って労働基準法を無視し、従業員であるアシスタントの労働条件を厳しくしていいのでしょうか。元手が少ないんだから仕方ないなどと正当化できるものではないはずです。元手が少ないなら少ない範囲で制作するのが本来の筋でしょう。

私は原稿料を決めている出版社の責任が最も重いのは当然として、マンガ家たちにも同様に責任があると思っています。

ネット上などでイラストレーターの方が絵についてよく知らない依頼主にあまりに低いギャラを提示されて憤慨したという話を目にすることがありますが、私は絵についてプロであるマンガ家たちもアシスタントに対して同じことをしていると考えています。経験者優遇と求人に書いているマンガ家は一定以上の技術を持つベテランアシスタントにはいくら払う用意があるのでしょうか。時給1000円と明記されてるところからいくらアップするつもりなのでしょうか。時給1100円でしょうか。1200円でしょうか。仮に時給1200円であっても8時間以降の時給が残業代として割増にならないのであれば、1日10時間、月20日働いても24万円です。アシスタントが慢性的な人手不足である理由がよく分かります。誰だってこんな条件でこき使われるのはいやに決まっています。

絵を描く技術を安く買い叩いてるのはマンガ家自身だと私は思っています。

ではどうしろというのか、労働基準法を守ってアシスタントの労働条件をアップさせたらマンガの絵の密度、完成度は下がるじゃないか、絵の質を下げるわけにはいかないんだと反論したくなる方もいるかもしれません。

私はそれで質が下がるなら下がればいいし、マンガ業界が立ち行かなくなるなら立ち行かなくなればいいと思っています。とっとと潰れろ、と。

労働基準法を守った上で、また、制作に携わる人にまっとうな報酬を支払った上でできあがってきたものが日本のマンガ業界の本来の実力なのではないでしょうか。ドーピングして記録を出したアスリートに私は拍手できません。今の日本のマンガ業界は自分たちが違法なドーピングしてる意識もなく、こんなに私たちはマンガに魂込めてる、頑張ってると大きな勘違いしているのだと思います。

作品が完成するまでアシスタントとともに寝ないで描くというのはもうやめにすべきです。制作予算が少ないなら、その範囲内で完成させる、それでは全く時間も予算も足りないというのであれば報酬+制作予算である原稿料を大幅にアップさせるという当たり前のことをするべきではないでしょうか。

マンガを好きで読んでいる読者の方々には、アシスタントを雇って描かれたマンガはほぼ10割、マンガ家によるブラックな雇用のもと制作されているということを覚えておいていただきたいと思います。

マンガ家のアシスタントという仕事について

私は大学在学中からマンガ家のアシスタントの仕事を始めました。その後、大学を卒業してから2017年の4月まで12年ほどアシスタントをしていました。

皆さんはマンガ家のアシスタントというと、どんなことをイメージするでしょうか。

好きなことを仕事にしていていいなとか、徹夜や残業ばかりで大変そうとか、アシスタントするかたわら自分のマンガも描いて早く独立したいと考えているんだろうとか、いろいろあるかと思います。

私もいろいろな先入観を持っていましたが、業界に入ってアシスタントの仕事を続ける中で、そのイメージは変わっていきました。

結論から言うと、日本のマンガ業界のアシスタントに対する給与、待遇、地位はその技術に全く見合うものではなく、変えていかないといけないと考えるようになりました。

アシスタントの技術はちょっと絵の得意な人が一年二年で身につけられるものではない、プロの技術と言って良いと思います。しかし残業、徹夜は当たり前、なおかつ残業代・深夜手当などという概念は日本のマンガ家の職場にはほぼ存在せず、それだけ働いても年収にして300万円もらえてれば良い方、200万円台が普通というのが実際のところではないでしょうか。

アシスタントの技術を買い叩いて成り立ってきたのが日本のマンガ業界だと私は考えています。労働時間と給与から見て、マンガ家のアシスタントは奴隷と言っていいでしょう。奴隷が言葉として強すぎるのなら、使い捨てのバイトでもいいです。

私たちの技術は、何なのでしょうか。

私たちのやってきたことは、その程度の取るに足らないものだったんでしょうか。

私は絶対に違うと思っています。

マンガ業界はそろそろそうしたアシスタントの待遇を変えなければいけないし、そのためには何がどうおかしいのか、きちんと言葉にする必要があると考えて、こうしたブログを書くことにしました。

このブログではアシスタントとはどんな仕事なのか、またはマンガ業界でアシスタントがどのように捉えられているのか、私が経験したことや、他にもマンガ家たち、編集者たちの言葉、マンガ家を主人公としたマンガ作品や映画、ドラマから見てとれるアシスタント像などを書いていこうと考えています。

アシスタントの待遇が一日も早くまっとうなものになるよう、できるだけのことをしていこうと思っています。