マンガ家のアシスタントという仕事について
私は大学在学中からマンガ家のアシスタントの仕事を始めました。その後、大学を卒業してから2017年の4月まで12年ほどアシスタントをしていました。
皆さんはマンガ家のアシスタントというと、どんなことをイメージするでしょうか。
好きなことを仕事にしていていいなとか、徹夜や残業ばかりで大変そうとか、アシスタントするかたわら自分のマンガも描いて早く独立したいと考えているんだろうとか、いろいろあるかと思います。
私もいろいろな先入観を持っていましたが、業界に入ってアシスタントの仕事を続ける中で、そのイメージは変わっていきました。
結論から言うと、日本のマンガ業界のアシスタントに対する給与、待遇、地位はその技術に全く見合うものではなく、変えていかないといけないと考えるようになりました。
アシスタントの技術はちょっと絵の得意な人が一年二年で身につけられるものではない、プロの技術と言って良いと思います。しかし残業、徹夜は当たり前、なおかつ残業代・深夜手当などという概念は日本のマンガ家の職場にはほぼ存在せず、それだけ働いても年収にして300万円もらえてれば良い方、200万円台が普通というのが実際のところではないでしょうか。
アシスタントの技術を買い叩いて成り立ってきたのが日本のマンガ業界だと私は考えています。労働時間と給与から見て、マンガ家のアシスタントは奴隷と言っていいでしょう。奴隷が言葉として強すぎるのなら、使い捨てのバイトでもいいです。
私たちの技術は、何なのでしょうか。
私たちのやってきたことは、その程度の取るに足らないものだったんでしょうか。
私は絶対に違うと思っています。
マンガ業界はそろそろそうしたアシスタントの待遇を変えなければいけないし、そのためには何がどうおかしいのか、きちんと言葉にする必要があると考えて、こうしたブログを書くことにしました。
このブログではアシスタントとはどんな仕事なのか、またはマンガ業界でアシスタントがどのように捉えられているのか、私が経験したことや、他にもマンガ家たち、編集者たちの言葉、マンガ家を主人公としたマンガ作品や映画、ドラマから見てとれるアシスタント像などを書いていこうと考えています。
アシスタントの待遇が一日も早くまっとうなものになるよう、できるだけのことをしていこうと思っています。